本研究室では,物体周りの粘弾性流体の流れに関する研究を行っています.粘弾性流体は,溶融プラスチックや化粧品,食品,印刷インキ,乱流抵抗低減剤など,さまざまな工業分野で広く利用されており,私たちの生活にも密接に関わる重要な流体です.物体周囲の粘弾性流体の流れでは,水や油,空気といった通常の流体では見られない特異な流動現象が発生することが知られています.これらの現象のメカニズムを解明することは,工学的な応用においても非常に重要な意義を持ちます.
研究テーマとしては,数値シミュレーションと実験的手法に分かれており,実験的なアプローチでは,PIV(Particle Image Velocimetry)を用いた速度場の計測,偏光を捉えるカメラによる応力分布の可視化,および流体中に置かれた物体に働く抗力の計測を行っています.これらの実験により,流体の挙動や物体に対する影響を詳細に解析しています.
さらに,本研究室では,物体から発生するせん断波の挙動,支配方程式における型変化,および粘弾性流体の流れと磁気流体力学とのアナロジーに着目し,これらの現象がもたらす物理的・工学的意義についても探求しています.これにより,より高度な流体力学的応用が期待される新たな知見の発見を目指しています.